そろそろ、ちゃんと『Black Mirror』について語りたくなった。
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- 2019年6月23日
- 読了時間: 7分

『Stranger Things』に『13の理由』、最近だと『ボクらを見る目』に『Always Be My Maybe』。
Netflixが相変わらず絶好調みたいだ。
あとは『テラスハウス』だけ放送中止になれば、完璧だ。
だけど、僕の中でNetflixオリジナルで最も好きな作品は、今も昔もこれからも、『Black Mirror』シリーズで変わらないだろう。
以前このブログでも『Black Mirror:Bandersnatch』の記事を書いたが、
一度どこかで皆さんにこの作品の素晴らしさをちゃんと説明しておかないと、「何かずっとあるけど一回も観たことない」ものになってしまうのではないだろうか?
もったいない!
みなさんにそんなもったいない思いをして欲しくない!
という事で、ほんの少しの善良な気持ちと9割のエゴで、
今回は皆さんへ『Black Mirror』シリーズを紹介し、中でも特にオススメのエピソードを紹介して行こうと思う。
ちなみに、今年の6月の公開されたシーズン5では、
我らがヒップスターのマイリー・サイラスが登場しているが、エピソードとしては『Black Mirror』にしては珍しくクソ。
そもそも『Black Mirror』って何?

『Black Mirror』とは、一言で言うと、「海外版『世にも奇妙な物語』」である。
ドラマシリーズではあるが、一話一話が全く別の独立した話になっており、
キャストもそれぞれのエピソードで全く違う。
ちなみにファンからしたら、最近のエピソードではイースターエッグ(全く関係のない前のエピソードに出てきたキャラクターが、隠れて最新のエピソードに出てきたり)などがあるため、
私みたいなオタクが大量生産されてしまう。

『Black Mirror』のエピソードは、それぞれ全く独立したエピソードだが、全てのエピソードがある2つのテーマで通じている。
それが、「Five minutes from now.(今から5分後の世界)」と「The future is bright.(未来は明るい)」である。
まず「Five minutes from now.」から説明すると、
どのエピソードにも必ずそれぞれ、あるテクノロジーがテーマとなって現れる。
それは「携帯」であったり、「VR」であったりすることもあれば、
より現代社会のトレンドである「ライブ配信」であったり、「Twitter」であったり、「出会い系」であったり、「Uber Eats」であったり。
そして、それぞれのエピソードの中では、それぞれのテクノロジーが若干進歩していることが多い。
だから、「あ、VRとかって進化したらこんな感じになるかもな」と、なんとなく想像しながら観てしまえるのだ。
そして、2つ目のテーマは「The future is bright.」だ。
『Black Mirror』はほぼ全てのエピソード、壮絶な皮肉で終わる。
ジャンルでいうと、ブラック・ジョークである。
とてつもなく救われない、報われない、助けようがない主人公の転落を描くことが多いのだが、
『Black Mirror』が上手なのは、視聴者を、そんな主人公に感情移入させてしまうことだ。
視聴者は必ずしも主人公の行動を攻めることが出来ない、そんなエピソードばかりだ。
だから、ただ「胸糞悪くなる感じ」で終わるのではなく、「考えさせられる」系のエピソードになっているのである。
なので、そろそろお気付きの方もいると思うが、2つ目のテーマである「The future is bright.」は、未来には希望が持てるという意味での明るさではなく、これから先の未来、iPhoneやiPadなどのデバイスが大量に普及されてきて、みんな朝昼晩、画面から目が離れないという状況を皮肉って「未来は明るい」を言っているのだ。
テーマから皮肉って・・・たまらん。
そして何より、一話でも見てもらえば分かることだが、『Black Mirror』には先が読めない、どんでん返しがたくさん仕掛けられたの上質なエピソードが豊富に揃っている。
今回は『Black Mirror』を一話も見たことがないという、逆に羨ましい皆さんに向け、
オススメのエピソードを列挙した。
是非、これを機にたくさんの人に観てほしい。
自由恋愛の未来のカタチ
シーズン3 エピソード4『サン・ジュニペロ』

胸糞レベル:0(全く胸糞しないエピソードです)
いろんな『Black Mirror』の記事を読んで見ても、どの方もマイ・ベスト・エピソードとしてあげているのが本作。
もちろん、僕のベストもこれ。
『Black Mirror』といえば「考えさせられる系胸糞エピソード」が醍醐味なのに、この作品は号泣必至の、超感動エピソードに仕上がっている(2回泣いた)
ネタバレはしたくないので多くはあえて書きませんが、今、色々問題視されていて槍玉に挙げられている、あるテクノロジーについて語っていて、しかもそれの人を幸せにする使い方を紹介する話です。
映像の綺麗さだけでなく、音楽やファッションも細かいところまで気が配られていて、素晴らしい。
この作品は好きすぎて3回くらい見たけど、全く飽きない。
最初はまずここから『Black Mirror』を初めてみるのもありかも。
ちなみに、アメリカで最も優れた作品に贈られるエミー賞のテレビドラマ部門を受賞した傑作。
好きな人に尽くすというのは間違いか?
シーズン1 エピソード2『1,500万のメリット』

胸糞レベル:明け方の日高屋レベル(まあまあ胸糞悪いエピソードです。)
どんな人間もチャリを漕ぐことで電力=お金が得られるという近未来の世界で、あることがきっかけでそのお金を貯め始める男の子の話。
最初は健気な男の子の行動に胸キュンですが、物語はだんだんと転落していき、おそらくオチは誰も予想できない展開を迎える・・
設定からしてSFにも見えたりするが、今もネットで人を応援する文化があったり、その子に、応援の証として、実際の物ではないネットのグッズをあげるというのは、今も実際に起きていること。
ただこのエピソードではその異常性を指摘するのではなく、
コンテンツが大量生産されていく中での、1つ1つの価値みたいなことをテーマにしてる。
コンテンツの過激化みたいなことをテーマにしているから、
You Tuberとかよく観ている人は、結構胸が苦しくなるかもしれない。
ちなみに主人公役の男の子はこの役での演技が評価され、映画『ゲット・アウト』の主役に抜擢されました。
目指せ!100イイネ!
シーズン3 エピソード1『ランク社会』

胸糞レベル:白米にマヨネーズかけてそれをピザにのせて食う(後からじわじわ胸糞悪くなってくるエピソードです。)
近未来の社会ではイイネ!が相手にその場で送れるようになっていて、
みんなとりあえず知らない人にもいい顔をしまくる、平和なのか平和じゃないのかわからない近未来の社会が、このエピソードの設定。
そんな社会で、アラサー女性がひょんなことからイイネ!を集めまくるお話。
とりあえずカフェの店員にも嫌いな上司にもいい顔しまくるこのお姉さんだが、人間の気まぐれと神様の悪戯に遊ばれ、転落していく。
インスタやTwitterで「イイネ中毒」になっている人には、いいデトックスになるかもしれない。
現代に通じることがありすぎるため、誰も主人公を否めないだろうし、
誰も悪役の女性を責めることもできないと思う。
ちなみにこの主人公のお姉さん役の人は、素朴感と言い、肉感と言い、まじでナイスキャスティングだと思う。
本当に悪いのは誰だ?
シーズン3 エピソード3『秘密』

胸糞レベル:ラーメン二郎(最悪レベルの胸糞)
個人的には『サン・ジュニペロ」に続く、もう1つの『Black Mirror』ベスト・エピソード。
これが好きな人は、『Black Mirror』好きだと思う。
ある男の子がG行為をしているところ、パソコンに付いているカメラがハックされていたため、その行為を何者かに撮影されてしまったお話。
とんでもない緊張感とスピード感と、日本人でも「Oh my god」と言いたくなる、全く予想できないオチが仕掛けられている作品。
そりゃあもう、胸糞の極み。
だけど、これも現代の深刻な社会問題の1つだと思うし、今まで悪役だと思っていた奴らへの見方が少し変わるという天才的な脚本。
これこそまさに、『Black Mirror』という感じ。
ちなみに、主人公の男の子役は、このエピソードでの演技が評価され、Netflixオリジナルドラマの『このサイテーな世界の終わり』の主人公に抜擢。
ちなみにこの作品も抜群に良い。
という訳で、長々と説明してしまいました、『Black Mirror』。
他にもこんなテーマパーク嫌だなあと思うシーズン2エピソード2『シロクマ』、いや気持ちは分かるけど・・と切なくなるシーズン4エピソード2『アークエンジェル』など、
紹介できなかったけど面白い作品が、たくさん転がっております。
ちなみに、最近公開されたシーズン5では、エピソード2『待つ男』が個人的にはドツボで、オチは読めたけど、エンドクレジットの映像に鳥肌がたった。さすが、『Black Mirror』。抜け目がない。
梅雨が本格化した季節。
天気と一緒に気持ちもズーンとなりませんか?
ちなみに、僕がさっきから胸糞と胃もたれを混同して使ってしまっていることは、お許しくださいませ。
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