元カノと聴いてた音楽と、吉野家で聴いた音楽
- n/a
- 2018年12月28日
- 読了時間: 4分
が同じだったっていう話。
今回問題となっているのはこの曲。
アイルランドのダブリンで結成されたKodalineというバンドの代表曲で、
個人的にとっても好きな王道バラードである。
日本ではまだ知名度が低いが、実はテラスハウスの挿入歌に使われたりしていた。
いや、そんなことはどうでもいいのだ。
今回僕が議論したいのは、世間が勝手に音楽を耳にねじ込んでくることだ。
今日 音楽は至るところに溢れている。
お店に入ればBGMとして音楽流れていて、街に出れば電子掲示板から広告の音楽が流れている。
逃げようと思って自宅に帰っても、テレビを付ければ何かしらの音楽にぶち当たり、
「もう嫌だ」と耳を塞いでみても、耳の奥から「USA! USA!」と聞こえてくる。
僕たちは昨今、音楽に溢れた世界に生きている。
もちろん良いこともある。
気分も高まるし、BGMが沈黙を作らない作用をしてくれることもある。
でも、だ。
僕は音楽が好きすぎて、思い入れのある曲は、自分のタイミングで必要になった時に聴きたいのだ。
本題に戻ろう。

お前が今回の敵だ。
この前、久々に牛丼屋に行った。
別に牛丼が嫌いなわけではないのだが、時間がなかったからとりあえず最寄りまでの道中にある吉野家へ入った。
イヤホンを取り、ネギ玉牛丼を注文した。
小麦粉より白い肌をした若い男性が僕の注文をとり、厨房へ戻った。
ここで気づくべきだったのだ。
この店のBGMが有線じゃないと。
なんで2018年にThe Killersが有線で流れてるんだと。
Twitterをいじっていた僕の前にネギ玉牛丼がやってきた。
僕はいじっていた携帯を置き、卵を割って牛丼へのせると、口へかきこんだ。
食べ始めて15秒ほど、例の曲が店内で流れ始める。
鼻からネギが飛び出た。
不意打ちすぎたからだ。
この曲は僕が長く付き合った彼女と別れる際に聴いた曲で、
この曲を聴くと、その彼女との思い出が一気にフラッシュバックしてくる。
洋楽に疎い彼女が素直にハマった数少ない曲の一つで、
よく旅行先とかで一緒に聴いていた。
だからなるべく聴かないように、封印していたはずなのに。
そんな思い出の曲と日曜の昼間の牛丼屋で出会うとは。
ただ不思議な事に、普段は悲しみがドッと押し寄せてくるこの曲に、
1ミリも感情が動かされなかった。
僕が成長したのか?
いや、そんなわけない。
そのタイミングで、なんかだんだんイライラしてきた。
何故こんな名曲が、こんな寂れた牛丼屋で流れているのだろうか。
何故こんな僕を非日常に連れて行ってくれる名曲が、
明日には忘れてしまいそうな日常に出てきているのか。
ずっと好きだった女の子が風俗店で働き始めた、そんな感覚に陥った。
(そんな事経験した事ないのだが)
(「カブトムシのゼリーの味がする」って言ってる奴らと同じようなこと言ってる思って聞いてほしい)
先述した通り、この曲が日本で知名度がだいぶ低いため、
日常に入り込んでくるような音楽ではないはずだった。
僕は小麦粉野郎を睨みつけた。
お前は一体なぜこの曲をチョイスしたんだ?テラハの影響か?
僕はささやかな抵抗として、小銭があったにも関わらず一万円札でお会計をして店を後にした。

でもよくよく考えてみれば、日常に音楽が溢れているのだから、
こんな経験誰にでもよくある事なのではないだろうか。
僕は普段洋楽しか聴かず、日本ポップチャートなど全く追いかけていないので被害が少ないが、
たとえばJ POPが大好きな人とか大丈夫なのだろうか。
たとえば、今年一世を風靡したDA PUMPの「U.S.A」。
日本の千葉県に住んでいるキャベツ太郎くん(仮名)がこの曲を始めて聴いた時、
体中に電気が走る感覚に襲われ、鳥肌が止まらなかったとしよう。
「ゆゆU.S.A!ゆゆU.S.A!」
その音を聴いただけで、キャベツ太郎くん(仮名)は狂喜乱舞。
体が自然と動き出し、細胞中が「どっちかの夜は昼間!」と歌う。
そんな子がいたとしよう。
そんなキャベツ太郎くん(仮名)が友達と遊びに行こうと外へでたとしよう。
イヤホンを付けていつもの曲を流し、「やっぱり飽きないな〜」なんて思っていた。
友達と合流し、人でごった返している安い居酒屋で乾杯。
くだらない仕事の話なんかしている時、キャベツ太郎くん(仮名)の耳にあの掛け声が聴こえてくる。
「ゆゆU.S.A!ゆゆU.S.A!」
「まさか」と思う。変な汗がでる。
「僕の大好きな曲がこんなところで流れている。」
「踊りたい!でも、踊れない!」
「しかも奥では音痴な声で歌い始めてる大学生がいるじゃねえか。」
それでもキャベツ太郎くん(仮名)の心を動かした名曲は、
ゆっくりと日常の"BGM"となっていく。
「パッパッパパパ〜パッパッパッパ」
「パッパッパパパ〜パッパッパッパ」
「やめてくれ!」
キャベツ太郎くん(仮名)は心の中でそう叫んだ。
向かいにいる友達が「でた〜これ」なんて愛想をついている。
あの時の楽しみも、あの時の興奮も、
こんな日常に入り込まれたら全部幻想だったんじゃないか。
キャベツ太郎くん(仮名)は怖くなって逃げ出した。
キャベツ太郎くん(仮名)は走った。右も左も関係なく走った。
赤信号が見えた。
キャベツ太郎くん(仮名)は止まった。
息が途切れ、膝に手をつき、肩で息をしていた。
外ではMariah Careyの「All I Want For Christmas Is You」が流れていた。
「でた〜これ」
キャベツ太郎くん(仮名)はそう呟くと歩き始めた。
で、何の話でしたっけ。
随分遠いところまで来てしまいましたね。
とりあえず、J POPはやっぱり怖くて聴けないや。
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