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ミュージックビデオがいらない系バンド

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  • 2018年9月9日
  • 読了時間: 4分

皆さんは彼を知っているだろうか?

彼の名前は西村ヒロチョ。

何もかもをロマンティックなものに変えてしまう事で一世を風靡しそうになった、一発屋のお笑い芸人である。


そんな彼のネタの多くは、こんなセリフから始まる。

「今日は、僕と一緒に、何かロマンティックなものを作ってみようよ!

それじゃ、いくよ!3(スリー)、2(ツー)、1(ワン)、ヒアウィゴー!」


今回紹介するバンドは、グーチョキパーの歌を愛の歌に替えて小銭を稼いだ西村ヒロチョではなく、

本当に何かロマンティックなものを作ってしまったバンドである。


多分今自分が最もハマっているバンドの1つ


いや、顔濃いな。(特に真ん中)

そして多分右の奴のTシャツはZARAで売っている。


彼らの名前はLANY(レイニー)。

2014年に結成された3人組インディポップバンドで、バンド名の由来は、メンバーたちが一時期、アメリカの両端に別れてしまったため、その頭文字をとって、LA(ロスアンゼルス))とNY(ニューヨーク)ということだそうだ。

ちなみにこのバンドの日本でのコピーは、「世界で一番美しい、セツナポップを貴方にーーーー」。

(V系か)


今、この何とも言えない顔してる3人組が、何かロマンティックなものを作っていると話題だ。

まずは聞いてみてほしい。


80年代感すら感じさせる優しいエレクトーンに、リバーブのかかった鼻声が気持ちよくのっかる。

味付けで入ってくるギターも、全体の流れを邪魔せず、綺麗な旋律で曲の切なさを倍増させる。

深夜に恋人と聞いたらぴったりな、都会型ロマンティックソングだと思う。


多分ここまでちゃんと読んだ人のうち、10人に1人くらいは、

何故貼ってあるビデオがリリックビデオなのかが気になってしまい、

ブラウザバックをかまし、You Tubeを開いて「Lany」と検索し、

一番上に出てきた「Thru These Tears」のMVを観て、

「あ、こうくる?」となっているであろう。


そう、こいつらは、自分の達の音楽をMVで表現することがとても苦手だ。



ウォーキングが趣味です

彼らの音楽を聴きながら夜の街を歩くと、たとえそこが渋谷でもおしゃれな都会にいるような感覚になり、「無料案内所」という看板すら「ネオン」と表現したくなる。


にも関わらず、MVは意味不明だ。

彼らがいるのは夜でも都会でもなく、太陽のど真ん中みたいなところだ。

そこを3人で息を合わせて歩く。

ウォーキングが趣味なのだろうか。

せっかく夜が似合うバンドなのに、非常に勿体無く感じる。


そんなLANYという音楽を最も効果的に使っている動画がこちらである。

※なぜかYou Tubeのは消されていたので、こちらからどうぞ。

https://twitter.com/zexy_news/status/936167729630867456

ティファニー x ゼクシィ『ティファニー・ブルー』Nov 30th, 2017

こちらは去年の暮れローンチされたティファニーとゼクシィのコラボ動画広告であるり、若い男女の恋愛と仕事を分かりやすく描いたことから、賛否両論のバズがたった。

また、主役には、犬みたいなイケメン成田凌とCookDoのチンジャオロースの女の子がフィーチャーされており、意外と二人ともハマっている。


そんなこの映像の主題歌として、LANYの「Good Girls」という曲が使用されている。

LANYの作る曲の中でもアップテンポの部類に入る曲で、

その曲に合わせて夜の街を疾走する成田凌の姿には、溢れ出るエモ感がある。

開始序盤で切なさが爆発している。

初めて見る動画なのに、幸せいっぱいだけで終わる動画ではないことを暗示させる。




多分こいつらはメンヘラ。


LANYというバンドの力はそこにある。

現代のロマンティックな音楽には、昔と違い、ほのかに切なさが香る。

マライア・キャリーやライオネル・リッチーが引っ張っていた80年代のロマンティックな音楽は、ディスコでのスローダンス前提に作られたものが多い。

90年代や2000年代に入ると、ロマンティックな音楽業界(?)はR&Bが席巻し始めるが、むしろそれらは切なさが「ほのかに香る」なんてレベルではなく、ロマンティックの香水を頭から浴びたのかというくらいクサい。何故あんなにシンガーの吐息が聞こえるのだろうか。呼吸検査でもやっているのか。

そして今、Ed SheeranやMaroon 5などが作るロマンティックな音楽には、どこかに切なさを残している。

草食系男子というのは世界共通なのだろうか。


LANYはその切なさに、「別れの予感」を加える。


Ed Sheeranがクラスのマドンナに勇気を出して告白し、

実はそのクラスのマドンナが好きなのがMaroon 5だとしたら、

「どうせ僕の片思いなのさ・・・」と教室の隅に座って、何もしないで好きな子を見ているのが、LANYだ。こう書くとだせえ。

でも拗らせすぎて、彼らのチル音楽は、現在唯一無二の2018年型のロマンティック音楽に仕上がっている。

よかったな、陰キャども!



外人って自分の髪をバッサリ切るの動画にしたがるよね。


そんな彼らが10月にニューアルバムをリリースする予定だ。

いくつかシングル曲が解禁されているが、LANYの自虐さに拍車がかかっていて、

かなりいいアルバムになりそうだ。


今年もしっかり冬が来そうなので、LANYという何かロマンティックなものに、抱きしめてもらおう。

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